技術コラム

精密シャフト加工で品質を確保するために、設計者の方に知っていただきたいポイント

精密シャフトは、自動車、産業機械、医療機器など、あらゆる分野で重要な部品として使用されます。その品質は、加工技術の高さだけでなく、設計段階での配慮によって大きく左右されます。特に長尺や細径のシャフトは、加工中の熱変形やびびりといった影響を受けやすく、わずかな設計の差異が製品精度の低下や納期遅延につながることもあります。
本記事では、切削加工の現場視点から、設計者の方に知っておいていただきたい精密シャフト加工のポイントと、品質を安定させるための具体的な工夫を解説します。

なぜ精密シャフトにおいて設計段階が重要なのか

加工技術だけでは補えない設計の質

精密シャフトは高精度な加工技術が必要とされるため、設計段階での配慮不足は最終品質に直結します。例えば、図面上の寸法公差や形状が適切でない場合、加工不良のリスクが高まります。特に長尺や細径のシャフトでは、変形やびびりなどが発生しやすく、加工精度に影響を与えやすいため、加工設備と技術を踏まえた設計が求められます。

 

設計者と加工者の認識ギャップによる不良やトラブルの発生

精密シャフトの加工時に設計者が求める寸法、形状が実現できないこともあります。例として、加工機のチャッキング位置や工具干渉などの可能性が設計段階で考慮されていない場合、追加工や治具変更が必要になり、品質低下や納期遅延のリスクが高まります。設計意図を正確に伝えるためには、製造プロセスを理解し、設計段階で加工者と擦り合わせを行うことが重要です。

精密シャフト加工における「品質」とは

寸法公差・同軸度・真円度などの設計指定と現実的な加工可能範囲

精密シャフトの品質は、単なる寸法精度だけではなく、同軸度や真円度、表面粗さなど複数の要素で評価されます。特に、寸法公差は用途によってはミクロン単位の管理が必要です。また、同軸度や真円度は回転性能や耐摩耗性に影響を及ぼすため、設計段階から要求品質を明確化することが重要です。

 

精密シャフト加工で起こりうる品質トラブル

精密シャフト加工時に起こりうるトラブルとして、熱処理後のひずみや、加工時の応力開放による曲がりなどがあります。特に長尺品は加工中のたわみや振動が積み重なり、工具摩耗による寸法誤差を引き起こす可能性があるため、設計段階での仕様見直しや、加工順序の最適化が必要です。

加工精度を安定させるために設計段階でできる工夫

寸法公差の見極め

全ての寸法に高精度を求めるのではなく、不要な箇所の公差を緩和することで、加工方法の選択肢が広がり、コストを抑えられる可能性が増えます。

 

基準の取り方を加工者と共有する重要性

設計時の基準と加工時の基準が一致しないと、累積誤差が発生します。そのため、設計時の基準に基づく工程設計を考慮した上ですり合わせを行う必要があります。

 

材料の選定と変形リスクへの配慮

薄肉、長尺、非対称形状のシャフトは変形リスクが高いため、熱処理特性や求められる強度に適した材料を選定します。
当社では、お客様が求める条件に応じて最適な材質のご提案を行うことも可能です。

当社の精密シャフトの加工事例

±0.003 精密シャフト

精密シャフト

こちらは、±0.003mmの高精度な精密シャフトです。

通常、段付き形状の加工を円筒研削で行う場合は約120秒を要しますが、センターレス研削盤によるインフィード研削を採用することで、35秒まで短縮し、大幅な加工時間削減を実現しました。

また、類似形状が3種類あるため、1台のセンターレス研削盤で対応できるよう、砥石とブレードの設計を工夫し、段取り替えを不要にしました。これにより、リードタイムの短縮にも成功しています。

 

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精密シャフトの加工なら特注シャフト・スリーブ加工.comにお任せください

いかがでしたでしょうか。

本記事では、精密シャフト加工で品質を確保するために設計者が知っておくべきポイントについてご紹介しました。

全ての寸法に高精度を求めるのではなく、機能上重要な箇所を見極めて適切に公差を設定すること、基準の取り方を共有すること、材料や加工順序の選定で変形リスクを抑えることが重要です。

 

特注シャフト・スリーブ加工.comを運営する株式会社協和製作所では、Tier0・Tier1メーカーとの直接取引で培った高い生産技術力と高い品質保証体制を活かして、高い精度でシャフトの量産加工に対応いたします。

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