シャフト量産加工においてコストダウンを実現するためには、製品要求に基づいた合理的な工程設計や工程の時間削減、各加工条件の最適化など様々な要素を考慮する必要があります。以下にコストダウンのためのポイントについてご紹介します。

合理的な工程構想の立案

コストダウンの実現のために合理的な工程構想を立案するには、まず工程全体の流れを見える化し、工程ごとの加工負荷を正確に把握することが重要になります。特に、複数工程では、工程間の待ち時間がロスになるので、ボトルネックを解消し、各加工工程の平準化が必要になります。

また、工程の最適化、加工時間の短縮をするためには、複数工程を一台で完結できるなどの設備選定も非常に重要になります。例えば、CNC自動旋盤は、複数の工具を切り替えながら、素材の回転や工具の送り、角度調整などをコンピュータで制御することが可能です。これにより、従来の汎用旋盤と比べて複数の加工工程を同時に、かつ短時間で処理することができます。

当社では、量産品の短納期提供を実現するため設備投資を積極的に行っているため、CNC自動旋盤など多くの量産向け設備を稼働し、シャフトの量産加工に対応できる体制を整えており、試作品の生産プロセスを通じて、加工条件、工程、刃具設計等を検討し、量産ラインの工程設計を得意としております。

段取り替え時間の削減

量産加工におけるコストダウンのポイントとして、段取り時間を短縮することが挙げられます。段取り時間を短縮するためには、

・工具・治具の標準化により製品ごとの段取り作業を統一

・作業スペースのレイアウト改善

・工具交換のワンタッチ化

・段取り項目の削減

などの対策が効果的です。

形状変更によるコストダウン

シャフトの量産加工では、ワーク形状を見直すことで大きなコストダウンが可能です。

例として、

・外径工具に合わせて角形状をR形状へ変更

・特殊工具が必要になる特別な寸法、もしくは形状を市販工具で加工できる形状へ変更

などの形状変更を行うことで、加工段取りの簡略化や入手性の高い市販品の工具を使用することで、コストダウンが可能です。

材料費の最適化

材料費の最適化では、材料ロスを低減できる素材長さを選定し、歩留まりを高めることが重要になります。外径精度と真直性の高い材料を選定することで、研磨工程の効率化が可能なため、生産性の向上に繋がり、結果的に加工コストを削減することが可能です。

後工程の見直し

検査工程の自動化や表面処理などの後工程の外注費用を見直すなど各工程をそれぞれ最適化することで加工工程全体でコストダウンをすることが可能です。

以下に、コストダウンができた当社のVE事例についてご紹介します。

ワーク隅部の形状変更による加工時間の短縮

Before

こちらの事例では、ワークの角部が直角形状で、使用できる工具が溝加工専用のタイプに限られていたため、外径加工用と溝加工用の両方の工具を準備する必要があり、結果として工具点数が増える恐れがありました。

これにより工具交換の頻度が高くなり、段取りに時間を取られるだけでなく、加工全体のリードタイムが延び、最終的には加工コストの増加も懸念されていました。

After

ワークの隅部を外径加工用工具で対応できる形状に見直すことで、使用する工具を1種類に集約することが可能になります。その結果、工具交換が不要となり、加工フローがスムーズになります。

これにより、加工時間の短縮だけでなく、全体の加工コストの削減にもつながりました。

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SCM435調質材からKNCH10への変更

Before

こちらの事例では、SCM435 調質材指定での図面をいただきましたが、強度が必要だったので、調質材の指定、なおかつ小径だったため、入手性が悪く、コストが高くついてしまうという状況でした。

After

SCM材と似た特性を持つ、KNCH10という調質レス材に変更することを提案したことで、調達が容易になり、コストも下げることができました。

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今回は、シャフト量産加工における当社のコストダウン事例についてご紹介しました。

量産旋盤・研削加工.comを運営する株式会社協和製作所では、様々な材質・形状のシャフトの量産加工に対応しており、多くのコストダウン提案の実績がございます。

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