中空シャフトの切削加工
中空シャフトとは、内部が空洞になった構造で、同じ外径の中実シャフトに比べて軽量ながらも、剛性を兼ね備えているシャフトです。
トーション剛性と振動吸収性に優れており、電気自動車や航空機、産業機械といった分野で多く使用され、軽量化と耐久性を両立させたい場面で特に重宝されています。

中空シャフトを使用するメリット
軽量化による運転効率の向上
中空シャフトは内部が空洞であるため、同じ外径の実心シャフトと比較して重量が大幅に軽減されます。
これにより、シャフトを使用する機械の総重量を減らし、エネルギー消費量の削減や機械の応答性の向上が可能です。
空洞部に部品を組み合わせることで重心の調整が可能
中空シャフトの空洞部分にバランスの取れる相手部品を組み込むことで、
シャフト全体の重心を精密に調整できるという利点があります。
この特性により、高精度機器や高速回転が求められる機械において、
回転軸にかかるアンバランスを効果的に抑えることが可能です。
また、回転中に発生する振動や偏心のリスクを低減することで、安定した動作を実現します。
高い放熱性
空洞部によって表面積が大きくなるため、放熱がしやすくなり、過熱による変形や破損のリスクを軽減できます。
金属シャフトは回転や摩擦によって熱が発生しやすいため、中空構造によって内部からの熱が分散されることで、
熱による膨張や収縮を抑え、長時間の使用でも寸法安定性を保つことができます。
中空シャフトの旋盤加工におけるポイント
切粉の巻きつき防止
中空シャフトを加工する際に使用する鋼管材は、粘り気が強いSTKM材が多いです。
そのため不規則な切粉が発生しやすく、巻き付きによるむしれが発生します。
切粉の巻きつきは、工具の損傷や、シャフト表面の傷などの品質低下を招きます。
そのため、シャフトを一定の長さごとに分断して加工したり、高圧クーラントを使用したりすることで、
切粉の巻きつきを防止します。
ワークの把握条件の確保
加工時の変形や、芯ずれ、振動を防ぐために、ワークの把握条件(チャックの方法や、把握力、掴み代など)を
確保することが重要です。
当社では、ワークの把握条件を確保するために、ダイヤフラムチャックやセンター押し固定治具を使用しています。
適切な工具の選定
被削材の硬度や粘り強さに合わせて工具材質を選定します。
選定の基準として、切粉の排出性が良い工具の形状やブレーカー、材質などがあります。
中空シャフトの研削加工におけるポイント
形状に合わせた研削条件の最適化
中空シャフトは内部が空洞であることから、研削時の振動やたわみを避けるために、
ワークの芯高と取り代を最適化することが重要になります。
砥石の選定とドレッシング
適切な砥石の選定も重要です。シャフトの材質や目的とする仕上がりによって、
砥石の材質や粒度、結合度を選定する必要があります。
また、研削加工の中で、砥石の切れ刃の目立てを行うドレッシングを行うことにより、
砥石の目詰まりを防ぎ、安定した加工性能を保つことが可能です。
研削液の選定と温度管理
研削熱による変形や精度の低下を防ぐために、適切な研削液を選定してワークの温度を一定にすることが重要です。
適正な研削液を使用することで、砥石の目詰まり防止や、研削時の温度上昇を抑え、
寸法精度と表面仕上げの品質を保つことができます。
当社の中空シャフトの加工事例
こちらは、自動車部品の中空シャフトです。
切粉がワークに巻き付くのを防ぐため、分断加工をしています。
ワークが中空で剛性が低いため、センター押し機構を搭載した専用旋盤を使用し、一気に加工することで、
精度を担保しています。また、自動盤での加工に比べて短いサイクルタイムを実現しています。
中空シャフトの切削加工は、特注シャフト・スリーブ加工.comにお任せください!
今回は、中空シャフトの加工におけるポイントと当社の加工事例についてご紹介いたしました。
特注シャフト・スリーブ加工.comでは、中空シャフトをはじめ、様々な形状のシャフト加工を行っています。
また、品質保証体制も万全です。
中空シャフト加工でお困りの方は、お気軽にご連絡ください。