汎用機と専用機の使い分け 量産コストを最適化するポイント
自動車部品の量産加工では、製品形状や生産数量に応じて適切な設備を選定することが、コスト競争力を大きく左右します。本記事では、汎用機と専用機の特徴を整理しながら、量産コストを最適化するためのポイントについて解説します。
汎用機のみで加工する場合のメリット・デメリット
自動車部品の加工では、まず汎用機を中心に工程を組むケースが多く見られます。CNC自動旋盤やマシニングセンタなどの汎用機は、さまざまな形状に柔軟に対応できるため、多品種の製品を扱う加工現場において非常に重要な設備です。
汎用機のみで加工を行うメリットとしては、生産数量が少ない場合でも効率よく加工できる点が挙げられます。専用機のように専用治具や設備投資が必要ないため、試作や小ロット生産では汎用機だけで加工を完結させる方が合理的です。また、設計変更にも柔軟に対応できるため、開発段階の部品加工にも適しています。
一方でデメリットも存在します。汎用機は多用途に対応できる反面、特定の加工に特化しているわけではありません。そのため、ねじ切りやスプライン加工、フライス加工など複数の工程を1台で処理する場合、加工時間が長くなりやすい傾向があります。量産時にはこの加工時間の長さが設備稼働時間の増加につながり、そのまま加工コストの上昇に直結してしまいます。
生産数に応じた設備選定のポイント
設備選定を行う際には、製品の生産数量を踏まえた工程設計が非常に重要です。数量に応じて最適な設備構成は大きく変わるためです。
小ロット生産の場合は、汎用機で工程を完結させる方法が一般的です。専用機を導入するための設備投資や段取り時間がコスト負担となるため、汎用機で柔軟に対応する方が効率的になります。また、少量生産では工程をシンプルにすることで、管理コストや段取り替えの負担も抑えることができます。
一方で、量産品では考え方が大きく変わります。加工時間が長くなる工程をそのまま汎用機で処理すると、設備稼働時間が増え、生産能力が不足する可能性があります。そのため、工程分析を行い、特に時間がかかる加工工程を抽出した上で専用機の導入を検討することが重要になります。
専用機を活用した加工工法の変更による加工時間の短縮
量産工程においては、加工時間の短縮がそのままコスト削減につながります。そのため、汎用機では時間がかかる加工を、専用機を用いた工法の変更を行うことで加工時間の削減が可能です。
例えば、ねじ切り加工を転造盤で行うことで、加工時間を大幅に短縮できる場合があります。また、スプライン加工をホブ盤で処理することで、汎用機による切削加工よりも短時間で安定した品質を確保することが可能になります。穴あけやフライス加工なども専用機を用いることで、加工時間と加工負荷を大きく削減できるケースがあります。
このように、汎用機と専用機を適切に組み合わせた工程設計を行うことで、各設備の得意分野を活かした効率的な生産体制を構築することができます。結果として、トータルの加工時間を最短化し、設備稼働率の向上とコスト削減の両立が実現します。
工程設計によるコストダウン
自動車部品の量産加工では、単に加工設備を導入するだけではなく、工程設計の考え方がコスト競争力を左右します。汎用機だけで工程を構成する場合は柔軟性が高い一方で、量産時には加工時間が長くなりやすいという課題があります。
そのため、量産工程では汎用機加工に専用機を組み合わせることで、時間のかかる工程を切り出し、加工時間を大幅に短縮することが重要です。ねじ切りやスプライン加工などを専用機で処理することで、生産効率を高めることができます。
最適な設備選定と工程設計を行うことで、設備稼働時間の削減と生産効率の向上を実現でき、結果として量産コストの最適化につながります。
当社の加工事例のご紹介
中空シャフト
こちらは中空構造のシャフトの加工事例です。切削時に発生する切粉がワークへ巻き付くことを防ぐため、切粉を細かく分断する加工方法を採用しています。
本製品は中空形状で剛性が低いため加工時の振れが発生しやすいですが、センター押し機構を備えた専用旋盤を使用して一工程で加工を行うことで、高い寸法精度を確保しています。また、シャフト中央部は取り代が大きいため、専用旋盤による一括加工を行うことで、自動盤で段階的に加工する場合よりも短いサイクルタイムを実現しています。
さらに、シャフト中央部の加工では材料内部の応力が解放されることで歪みが発生する可能性があります。そのため、仕上げ工程ではインフィード方式の研削盤を用いて加工を行い、シャフト全体の同軸度を確保しています。
加えて、中空内部に残る微細な異物についても対策を実施しており、専用設備による洗浄・除去工程を設けることで、中空部のコンタミを0.5mg以下まで管理しています。これにより、高い品質要求にも対応した加工を実現しています。
こちらはモーターシャフトの加工事例です。 一般的にモーターシャフトの加工では、旋盤加工を行った後に歪み取りやバリ取りの工程を設け、その後に研削加工で仕上げる工程が採用されます。本事例では工程の効率化を図るため、旋盤加工の段階で加工条件を最適化し、歪み取りおよびバリ取り工程を省略できるようにしています。具体的には、旋盤加工時に研削取り代を適切に管理し、加工時の歪み発生を抑制するとともにバリの発生を最小限に抑えることで、後工程を削減しながら外径精度、同軸度、真直度といった要求精度を満たしています。 また、本製品を含む3種類のモーターシャフトについては、1台の研削盤で仕上げ加工を行っています。段取りはプログラム変更のみで対応できるため、複数品種であっても効率的な加工が可能です。この方法により、小ロットであっても一般的な円筒研削による加工より高い生産効率を実現しています。 さらに材質面でも最適化を行いました。当初は強度確保のため、図面上ではSCM435の調質材が指定されていましたが、小径部品であることから材料の入手性が悪く、調達コストが高くなる課題がありました。そこで、SCM材と同等の特性を持ちながら調質処理を必要としないKNCH10を代替材として提案しました。この材質変更により材料調達が容易になり、コスト削減にもつながっています。 モーターシャフト
丸物の量産加工なら量産旋盤・研削加工.comにお任せください
今回は、汎用機と専用機の使い分け、量産コストを最適化するポイントについてご紹介しました。 株式会社協和製作所では、試作専用のCNC自動旋盤・研削盤を保有しており、量産を前提とした試作を試作専用機で行います。試作品の生産プロセスを通じて、加工条件、工程、刃具設計等を検討し、量産ラインの工程設計、評価につなげています。ぜひお気軽にご相談ください。


