技術コラム

モーターシャフトのコストダウンを実現する材質選定のポイント

モーターシャフトはモーターの回転力を装置や機械に伝達する重要な部品です。しかし、モーターシャフトの製造において、最適な材質選定を行わないと加工コストが高くなる場合があります。そこで本記事では、あらゆる材質・形状のシャフト加工に対応できる当社がモーターシャフトの材質選定におけるコストダウンのポイントについてご紹介します。

モーターシャフトの材質選定の重要性

耐久性や強度が求められるモーターシャフトにおいて、単に強度が高いものを選べばいいわけではなく、用途に応じて最適な材質を選定する必要があります。例えば、強度を求めているからといって必要以上に高強度な材質を選んでしまうと、材料費や加工コストが上がってしまうことがあります。

そのため、強度や加工性など各モーターシャフトに適切な条件を設定する必要があります。下記にて、当社の材質の変更提案によるコストダウン例をご紹介します。

材質の変更提案によるコストダウン・加工時間短縮時例

ステンレスから鉄めっき加工への変更

ステンレス材は耐食性に優れる一方で、硬度が高く被削性が低いため、加工に時間がかかることがあります。そのため、工具の摩耗も早く、加工費が高くなる傾向があります。そこで、必要な耐食性が局所的または軽度で足りる場合には、一般鋼にニッケルメッキなどの防錆めっき処理を施すことで、必要な性能を確保しつつ加工費を抑えることが可能です。

 

SUS304からSUS303への変更

SUS304はステンレス鋼の中でも強度と耐食性に優れた代表的な材料ですが、硫黄などの添加物が少ないため切削加工には不向きで、工具負荷が高くなりやすい傾向があります。これに対してSUS303は快削ステンレス鋼であり、加工性を高めるために硫黄やリンが添加されており、加工時間の短縮が可能となります。

 

SCM435の調質材からKNCH10への変更

SCM435は調達性が良くなく材料費が高くなる傾向があります。一方、KNCH10はSCM435と似た特性を持ちながら、調達が容易な材質であるため変更することで材料費を削減することができます。当社では実際にSCM435からKNCH10に材質の変更提案を行うことで、コストを削減した事例がございますので、詳しくは下記よりご覧ください。

 

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S45C・中実(丸棒)からSTKM・中空(パイプ)への変更

S45Cは中炭素鋼で、強度や耐摩耗性に優れていますが、機械的特性が高い分、素材コストが比較的高いという特徴があります。一方、STKMは中空構造であることから材料使用量が少ないため材料費を削減することができます。また、中空になる分、加工コストの削減も可能になります。

 

SS400からSUM23への変更

SS400は汎用構造用鋼であり価格は安いものの、切削加工においては被削性にばらつきが出やすくなり、加工時間が長くなる傾向があります。これに対し、SUM23は快削鋼であり、硫黄やリンを添加して被削性を向上させた材料です。工具への負荷が軽減され、切削速度の向上や加工時間の短縮が可能です。

 

S45CからS45CLへの変更

近年は、環境の観点から鉛フリーの材質の使用を推奨されていますが、形状が複雑かつ取り代の多い加工を行う際には、S45Cに鉛を添加したS45CLを使用することがあります。鉛を添加することで、快削性を高めることができ、その結果、サイクルタイムの短縮が実現できます。これにより、S45Cより短い加工時間で同等の表面粗さを得ることができます。

当社のモーターシャフトの加工事例

モーターシャフト

高強度が必要とされていたため、当初はSCM435の調質材が指定されていました。しかし、対象部品が小径であることから材料の調達が難しく、コスト面での課題がありました。そこで、SCM材と同等の機械的特性を有しながらも、調質処理が不要なKNCH10材を代替材としてご提案しました。これにより、材料の入手性が向上し、全体のコストダウンを実現しています。

 

>>加工事例の詳細はこちら

モーターシャフトの加工は特注シャフト・スリーブ加工.comにお任せください。

いかがでしたでしょうか。今回はモーターシャフトの材質選定におけるポイントについてご紹介しました。特注シャフト・スリーブ加工.comを運営する株式会社協和製作所では、Tier0・Tier1メーカーとの直接取引で培った高い生産技術力を活かして、シャフト加工のコストダウン、リードタイム短縮を可能にします。シャフト加工でお困りの方はお気軽に当社にご連絡ください。

 

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