技術コラム

旋盤による量産加工において考慮すべき点

試作段階では問題なくても、量産になると「コストが合わない」「品質が安定しない」といった課題はよく見られます。求められる品質を維持しつつ、低コストかつ安定的に量産を継続するためには、押さえるべき重要なポイントが多数存在します。
本記事では、旋盤加工の量産におけるポイントをご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

旋盤加工における「量産」のポイント

旋盤加工における量産では、ロットサイズを活かして加工効率を最大化する点が重要です。多品種少量生産とは異なり、一度確立した工程を維持することで、段取り時間の最小化と安定した品質の再現性を両立する必要があります。

旋盤の量産加工で考慮すべきポイント

材料選定と切削性

材料は量産ロット全体での特性ばらつきを踏まえて選定する必要があり、適正な切削条件(切削速度・切粉処理・工具寿命など)が確立できない場合、不良率の増加や加工時間の短縮が図れず、量産コストの上昇に繋がります。

 

公差・表面粗さの最適化

量産設計を行う際には、機能上必要な適正公差を見極めることが重要です。同軸度や表面粗さなどの精度要求を過剰に設定すると、加工設備が高価になります。また、工具の寿命が短くなったり、検査工数が必要以上に多くなったりすることで、量産時のコストが増加します。

量産効率を高める工程設計の工夫

複合加工機・自動盤の活用によるワンチャッキング加工

量産時に複数工程を一度のチャッキングで完結させる複合加工機や自動盤を活用することで、加工全体の効率を高めることが可能です。また、ワンチャックで加工ができれば工程を分けて複数回で加工を行うよりも、精度のばらつきを抑えることができます。


切削条件の最適化

材料特性や加工形状を踏まえ、工具・切削液の選定し、切削速度(回転数)などの加工条件を最適化します。これにより、工具寿命を延ばすと同時に、サイクルタイムを短縮することができます。

 

24時間稼働体制の実現

自動盤やロボットアームを活用した省人化・夜間稼働体制を構築します。これにより、人件費を抑えながらも工場の稼働率を最大化し、生産性を向上することが可能です。

当社の旋盤による量産加工事例

以下に、実際の当社の加工事例をご紹介します。

段付きシャフト

段付きシャフト

こちらは自動車部品として用いられる段付きシャフトの加工事例です。複合旋盤で一括加工すると約8分を要しますが、工程を分割して専用設備でライン化することで、わずか15秒で完結させています。

① 中央部のDカット×2か所

従来はエンドミル加工で80秒必要でしたが、ブローチ加工に置き換え、1ストロークで仕上げることで15秒に短縮しました。

② 両端部のHカット・Iカット

こちらもエンドミルの場合は100秒かかるところを、ブローチ加工で15秒に短縮しています。

③ タップ加工(4か所同時)

インデックス方式の専用機により4か所を同時加工し、タクトを大幅に削減しています。

④ 最終研削工程

インフィード研削盤を用いて2個同時に加工することで、サイクルタイムを1/2に圧縮しています。

また、各工程の間に自動インライン検査を組み込み、位相精度・ねじ精度の全数保証を実現しています。

 

>>加工事例の詳細はこちら

モーターシャフト

モーターシャフト 

こちらはモーターシャフトの加工事例です。

一般的な工程では、旋盤加工の後に歪み取りやバリ取りを挟み、その後に研削加工を行うのが通例ですが、当社では加工条件を工夫することで歪み取り・バリ取り工程そのものを不要としています。具体的には、旋盤加工の段階で研削取り代を適正に管理し、歪みの発生を抑制すると同時にバリも除去しています。この方法により、外径精度・同軸度・真直度といった厳しい公差要求にも対応しています。

また、本製品を含む3種のモーターシャフトを1台の研削盤で共用仕上げしています。段取りはプログラム変更のみで行えるため、小ロットや多品種でも一般的な円筒研磨より効率的に仕上げることができます。

 

>>加工事例の詳細はこちら

 

旋盤による量産加工なら特注シャフト・スリーブ加工.comにお任せください

いかがでしょうか。当社は、NC自動旋盤や、ブローチ盤、転造盤などの汎用機と、専用機を組み合わせて高精度かつ短納期で量産加工に対応いたします。お困りの方はお気軽にご相談ください。

 

>>お問い合わせはこちら

関連情報

お問い合わせ・ご相談は、お電話
またはメールフォームより承ります。

TEL052-892-1251営業時間:平日 8:00~17:00
FAX052-892-1630
ご相談・お問い合わせ
ページトップへスクロール