シャフトの「同軸度・真円度」が出ない原因と量産時の解決策
シャフト部品はモーターや駆動機構など多くの機械装置に使用される重要部品です。同軸度や真円度などの精度が要求されることが多く、わずかな誤差でも振動や異音、寿命低下につながる可能性があります。しかし実際の量産加工では、材料や加工条件、設備能力などの影響により精度が安定しないことも少なくありません。本記事では、シャフト加工において同軸度・真円度が出ない主な原因と、量産時に精度を安定させるための対策について解説します。
シャフトの精度管理が難しい理由
シャフトは細長い形状であることが多く、加工時の保持方法や材料の状態によって精度が大きく変化する部品です。特に自動車部品などでは回転体として使用されるため、同軸度や真円度などの幾何公差が厳しく管理されます。
しかし、シャフトは加工中にたわみが発生しやすく、また材料そのものの精度や内部応力の影響を受けやすいという特徴があります。さらに、旋盤加工や研削加工など複数工程を経て仕上げられる場合が多く、各工程のわずかな誤差が積み重なることで最終精度に影響します。
シャフトの同軸度・真円度が出ない原因
切粉を噛んで同軸度がズレる
旋盤加工や自動盤加工では、切削時に発生する切粉がチャックやワークの間に入り込むことがあります。切粉を噛んだ状態で加工が進むと、ワークの芯がわずかにずれた状態で固定されるため、同軸度不良の原因になります。
特に量産加工では加工サイクルが短く、切粉の排出が不十分な場合にこのトラブルが発生しやすくなります。結果として、加工機の精度が高くてもワークの芯出しが狂い、シャフトの回転精度に影響を与える可能性があります。
材料の真円度が悪い
シャフト加工では、材料となる丸棒の真円度も重要な要素になります。素材の真円度が悪い場合、チャッキングの際に芯がずれたり、加工後の真円度が安定しない原因になります。
特にコストを優先して材料を選定した場合、材料段階での精度ばらつきが大きくなることがあります。この場合、いくら高精度な加工機を使用しても理想的な真円度を確保することが難しくなります。
材料の曲がりがあることで同軸度がズレる
細長いシャフト材料では、材料段階で曲がりが発生しているケースもあります。曲がりのある材料をそのまま加工すると、材料が曲がっているため、加工後に同軸度がズレた状態になる。
また、材料内部の残留応力によって加工後にわずかな変形が生じることもあります。このような材料由来の問題は加工条件だけでは完全に解決できないため、材料選定や前処理が重要になります。
対策方法
チャッキング
シャフト加工において最も重要なポイントの一つがチャッキングです。ワークをどのように固定するかによって、同軸度や真円度の精度が大きく変わります。
例えば、コレットチャックや高精度チャックを使用することで芯振れを抑えることができます。また、切粉が噛み込まないよう切粉の侵入防止や定期的にチャック内部を清掃することや、エアブローによる切粉除去なども精度安定に有効です。量産加工ではこのような細かな対策が品質の安定につながります。
設備の能力
シャフトの高精度加工には設備の剛性や加工精度も重要です。高精度主軸を備えた旋盤や複合加工機、円筒研削盤などを使用することで、同軸度や真円度を安定して確保することが可能になります。
また、設備だけでなく加工条件の最適化も重要です。切削条件、工具の選定、加工順序などを適切に設定することで、歪みの発生を抑えながら高精度な加工を実現できます。量産加工ではこのような条件管理が品質のばらつきを抑えるポイントになります。
材料の真円度・曲がり次第
最終的な精度は、材料の品質にも大きく左右されます。丸棒材料の真円度や曲がりが大きい場合、加工だけで補正するには限界があります。そのため、シャフト加工では材料段階から精度を管理することが重要です。
具体的には、真円度の高い材料を選定することや、材料入荷時に検査を行うことで加工前に品質を確認します。また、必要に応じてセンタリング加工や矯正工程を行うことで、同軸度のずれを抑えることが可能になります。
当社のシャフト加工事例
モーターシャフト
こちらはモーターシャフトの加工事例です。
一般的にモーターシャフトの加工では、旋盤加工の後に歪み取りやバリ取りを行い、その後に研削加工で仕上げる工程が採用されます。本事例では、これらの工程を削減するため、旋盤加工の段階から加工条件を最適化しました。具体的には、研削取り代を考慮した加工管理を行うことで歪みの発生を抑え、同時にバリの発生も抑制しています。その結果、外径精度や同軸度、真直度といった要求精度を確保しながら、工程の簡略化を実現しました。
また、本製品を含む3種類のモーターシャフトについては、1台の研削盤で仕上げ加工を行っています。段取りはプログラム変更のみで対応できるため、品種切り替えの時間を大幅に短縮でき、小ロットであっても円筒研磨に比べて効率的な加工が可能となっています。
さらに、材料面においても最適化を行いました。当初の図面では高い強度を確保するためにSCM435の調質材が指定されていましたが、小径部品であるため材料の入手性が低く、コストが高くなるという課題がありました。そこで、SCM材と同等の機械特性を持ちながら調質工程が不要なKNCH10を提案しました。この材質変更により、材料調達の安定化とコスト削減の両立を実現しています。
中空シャフト
こちらは中空シャフトの加工事例です。
中空構造のシャフトは、加工中に切粉がワークへ巻き付きやすいという課題があります。本事例では、その発生を防ぐために分断加工を採用し、切粉の排出性を高めながら安定した加工を実現しています。
また、中空シャフトは剛性が低く変形しやすいという特徴がありますが、センター押し機構を備えた専用旋盤を使用し、一度の工程で加工を行うことで高い加工精度を確保しています。さらに、シャフト中央部には取り代が大きい箇所があるため、専用旋盤でまとめて加工することで、自動盤で加工する場合と比較してサイクルタイムの短縮を実現しています。
加えて、シャフト中央部の加工では、材料内部の応力開放によって歪みが発生する可能性があります。この対策として、インフィード方式の研削盤による仕上げ加工を行うことで、同軸度を確保し、最終的な精度を保証しています。
シャフトの量産加工は量産旋盤・研削加工.comにお任せください
今回は、シャフトの「同軸度・真円度」が出ない原因と量産時の解決策についてご紹介しました。量産旋盤・研削加工.comを運営する株式会社協和製作所では、丸物の中でも特にシャフト・スリーブの加工に強みをもっており、QCDの向上を実現します。お困りの方はお気軽にご相談ください。


