シャフトの旋盤加工を高精度に行うためのポイント
シャフトの加工には様々な方法がありますが、その中でも旋盤加工は精密な外径加工や内径加工、ねじ切り加工などを高い精度で行うことができ、シャフト加工において欠かせない加工方法です。
本記事では、シャフトの旋盤加工のよく発生する課題からポイントまでまとめて解説いたします。

シャフトの旋盤加工で発生する課題
切削工具の摩耗による精度低下
旋盤加工における課題の一つは、切削工具の摩耗です。特にシャフトのような高精度な部品を加工する場合、工具の摩耗が精度に直接影響を及ぼします。工具が摩耗すると、切削面が不均一になり、最終的な製品の品質が低下する可能性があります。そのため、工具の管理や定期的な交換が不可欠です。
熱変形による加工精度への影響
旋盤加工では高速回転による摩擦熱が発生し、その熱によってシャフトが膨張する可能性があります。この熱膨張は加工精度に悪影響を与えるため、特に高硬度や熱伝導率が高い材料を加工する場合、熱の管理が重要になります。
複雑な形状の加工におけるセットアップの手間
シャフトには様々な形状があり、複雑な形状の加工にはセットアップの手間がかかります。例えば、段付きシャフトや内径加工など、高精度な加工を行うためには、機械の条件出しに時間がかかる場合があります。全体の生産時間に占めるセットアップの時間が増えてしまうと、生産効率が著しく低下してしまいます。そのため、適切な設備の選定や、セットアップの効率化が重要です。
シャフトの旋盤加工における重要なポイント
適切な切削条件の設定
シャフトの旋盤加工を行う際には、適切な切削条件の設定が最も重要になります。切削速度や送り速度、切込み深さなどの条件を最適化することで、加工精度を高め、工具の寿命を延ばすことができます。特に自動車部品のように高精度が要求される部品では、これらの条件を細かく設定することが重要です。
冷却と潤滑の最適化
旋盤加工では摩擦熱を抑えるために切削液の使用が求められます。加工時に切削液を使用することで、加工時の工具と被削材の間で発生する摩擦熱の抑制と切粉の排出性を高めることで、加工精度を向上することができます。また、切削液が不足していたり、適切に供給されないと、シャフトの表面性や寸法精度が低下します。
計測機器の使用
複雑な形状や高精度な内径加工を行う際には、精密な計測機器の使用が重要です。加工工程で寸法や形状を正確に測定し、微調整を行うことで最終製品の精度を確保することができます。当社では、表面粗さ・輪郭形状測定機、真円度測定機、三次元測定機といった多くの計測機器を保有していることで高い品質保証体制を整えております。
当社のシャフト加工事例のご紹介
モーターシャフト
こちらはモーターシャフトの加工事例です。
通常、モーターシャフトの加工では、旋盤加工後に歪み取りやバリ取りを別工程で行い、その後研削加工を実施します。しかし、当社ではこれらの工程を省略するため、加工条件を工夫しています。具体的には、旋盤加工時に研削取り代を管理し、歪みの発生を抑制するとともに、バリの除去も同時に行っています。この方法により、外径精度、同軸度、真直度といった品質要求を満たすことができます。
また、当社では本製品を含む3種類のモーターシャフトを1台の研削盤で仕上げ加工しています。プログラム変更のみで3種類の加工ができるため、小ロット生産でも円筒研磨に比べて効率よく加工することが可能です。
AT用トランスミッションシャフト
こちらはAT用トランスミッション用のシャフトの加工事例です。
加工において、ネジ部の二面幅加工には、精度と量産性を両立させるためにブローチ加工を採用しました。これにより、高い寸法精度と安定した加工品質が確保されています。また、二面幅と孔の位相精度(±30分以内)を保証するため、専用の治具を設備内に設置し、加工時のばらつきを抑制しています。
シャフト中央部については、軽量化を目的とし、長さ197.5mmの区間においてφ8の切削加工を行いました。この工程では、2軸専用機をライン化することでサイクルタイム(C/T)の短縮を実現しています。しかし、高切込み旋削加工では、加工中に応力解放による部品の変形が起こりやすく、振れが生じるリスクがあるため、ライン内に振れ矯正機を組み込み、後工程への影響を防ぎ、最終的な精度を維持しています。
ミッション用シャフト
こちらは、ミッション用シャフトの加工事例です。
二面幅部の加工にはエンドミルを使用すると40秒かかりますが、ブローチ加工を採用することで24秒に短縮しました。さらに、二面幅部とクロス穴部のエッジバリは、社内で設計・製作したバリ取り加工機を使用して除去することで、サイクルタイムの短縮を実現しています。
また、ブローチ加工工程内でインライン検査を行うことで、位相精度を確保しています。
シャフトの加工は特注シャフト・スリーブ加工.comにお任せ下さい!
今回はシャフトの旋盤加工についてご紹介しました。特注シャフト・スリーブ加工.comを運営する株式会社協和製作所では、加工精度だけでなく、最短の加工時間を追求した設備耐性や高い品質保証体制を整えていることで、あらゆる材質・形状のシャフト加工にご対応いたします。ぜひお気軽にご相談ください。