技術コラム

量産品の特注シャフト設計・製作の流れと加工業者選定のコツとは

特注シャフトの量産は、単品試作とは異なり、安定した品質の維持とコスト効率の両立が求められます。しかし、設計段階での仕様設定や加工工程の選定を誤ると、量産開始後に不具合や納期遅延が発生し、手戻りコストが膨らむリスクがあります。

特に、設計上は可能でも加工が困難な場合や、試作と量産での適正工法の違い、素材や熱処理の選択など、押さえるべきポイントは多岐にわたります。
本記事では、量産品の特注シャフト設計から製作までの流れを整理するとともに、失敗を防ぐための加工メーカー選定のコツをご紹介します。

特注シャフトの量産で失敗しないためのポイント

特注シャフトの量産加工では、設計段階や加工工程で様々な問題が発生するリスクがあります。以下にシャフトの量産加工で失敗しないためのポイントについてご紹介します。

 

設計側と加工側の認識ギャップ

設計上は可能でも、加工が困難な場合が多々あります。例として、工具の形状などが加工側に共有されていないことで加工が困難な場合や、試作では加工できる公差であっても量産では対応できないケースなどがございます。

そのため、製図段階から加工側とすり合わせを行い、技術的制約等を共有することが重要です。

 

試作と量産では「見るべきポイント」が異なる

試作段階では、機能評価や性能評価が主であり、お客様の評価の目的に応じた試作品の提供が優先されます。一方、量産では、安定的な品質維持とコストダウンの両立が求められます。

そのため、試作で用いた加工方法や材料が、量産に適しているかどうかを再評価することが必要があります。

特注シャフトの量産において求められる要件

使用環境による素材選定の重要性

シャフト加工では、使用環境に応じて材料を選定することが非常に重要です。高負荷環境下ではSCM(クロムモリブデン鋼)のような高強度鋼が選ばれ、耐食性が求められる場合はステンレス鋼が用いられます。

当社では、材質変更によるコストダウンの提案なども対応可能です。

 

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熱処理や表面処理の有無によるコストとリードタイムの影響

シャフトの性能を向上させるために、焼入れ・焼戻しなどの熱処理や、窒化処理・クロムメッキなどの表面処理を施すことがあります。しかし、これらは工程追加によってリードタイムが延び、コストが上昇します。

設計の段階で、必要な処理の種類や条件を確定しておくことが重要です。不要な処理を避けることでコストを削減し、リードタイム短縮につなげることができます。

シャフトの量産加工に対応できる業者選定の3つのポイント

シャフトの量産加工の実績が豊富にあるか

シャフトの量産において、同じ品質の製品を安定して供給することが非常に重要になります。そのため、安定して加工ができる生産体制を整えており、多くの形状、材質で量産加工経験のある加工業者であればトラブル回避のノウハウを持っていると考えられます。

当社では、モーターシャフトや段付きシャフト、スプラインシャフトなど様々な形状のシャフトの量産加工の実績が豊富にあります。

 

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設計段階でのフィードバックをくれる

シャフトの量産加工に精通している業者が、設計初期から加工の視点で助言できる場合、量産時の不具合発生を大幅に減らすことができ、加工の安定性やリードタイムの短縮が可能です。

当社では、試作時に量産時と同じ工法で加工することで、量産時のコストダウンや品質向上に関する正確なご提案をさせていただくことも可能です。

 

検査設備体制

量産加工では、数千・数万という数の大量の製品を製造するため、品質をコントロールすることが必要となります。そのため、全数検査や測定を徹底している業者であれば、高品質かつ安定的に量産加工を行うことが可能です。

当社では、当社は自動車部品の加工に豊富な実績を有し、高い品質保証体制を構築しております。インライン寸法検査と画像検査を組み合わせた全数保証に加え、真円度測定機や三次元測定機などの精密測定機器を備え、万全の品質管理を実現しています。

 

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当社の特注シャフトの量産加工事例

モーターシャフト

一般的なモーターシャフト加工では、旋盤加工後に歪み取りやバリ取りを別工程で行い、その後に研削加工を実施します。しかし当社では、これらの工程を省くために加工条件を最適化しています。具体的には、旋盤加工時に研削取り代を適正に管理し、歪みの発生を抑えながら同時にバリを除去することで、外径精度・同軸度・真直度などの品質要求を満たしています。

また、当初の図面では、高い強度が必要なためSCM435の調質材が指定されていましたが、小径部品であるため入手性が悪く、コストが高いという課題がありました。そこで、SCM材と同等の特性を有し、調質工程を省略できるKNCH10をご提案し、採用いただきました。この結果、材料調達の容易化とコストダウンを同時に達成しています。

 

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スプラインシャフト

当初はブローチ加工やスプライン加工においてバリが発生しやすい形状でしたが、当社ではバリの発生を抑える形状へのVE提案を行いました。これにより、バリ取り工数の削減や工具寿命の延長を実現し、トータルコストの低減につなげています。

さらに、焼き入れやメッキによる寸法変化については、処理メーカーと連携しながら最適条件を導き出し、高品質な仕上がりを確保しています。

 

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シャフトの量産加工なら特注シャフト・スリーブ加工.comにお任せください

いかがでしたでしょうか。本記事では量産品の特注シャフト設計・製作の流れと加工業者選定のコツについてご紹介しました。

試作でうまくいった方法が量産にそのまま適用できるとは限らず、素材選定や熱処理・表面処理の有無もコストと納期に大きな影響を及ぼします。また、豊富な量産実績を持ち、設計へのフィードバックや確実な検査体制を備えた加工メーカーを選ぶことで、品質の安定と効率的な生産が可能になります。

特注シャフト・スリーブ加工.comを運営する株式会社協和製作所では、試作の段階から量産を前提とした加工を行うことで、短納期かつ高精度なシャフト品をご提供いたします。シャフトの量産加工でお困りの方はお気軽にご相談ください。

 

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