量産品の旋盤加工で安定した品質を維持するための管理体制
シャフトをはじめとした丸物部品の量産では、初期立ち上げ時に問題がなくても、生産数量が増えるにつれて寸法ばらつきや不良の発生に悩まされるケースが少なくありません。量産品の旋盤加工では、材料・設備・工具・加工条件といった複数の要素が複雑に絡み合い、わずかな変化が品質へ大きな影響を及ぼします。
本記事では、シャフト量産において不良率を抑え、安定した品質を維持するために必要な管理体制と具体的なポイントについて解説します。
量産加工における「安定した品質」の難しさ
量産品の旋盤加工では、試作段階では問題がなくても、量産に移行した途端に品質が不安定になることがあります。その大きな要因は、加工数量の増加に伴い、材料ロットの変更や工具摩耗、設備温度の変化といった変動要素が顕在化するためです。
特にシャフト部品の量産では、外径・同軸度・真円度といった精度要求が厳しく、わずかな条件変化でも不良につながります。また、自動運転が基本となるため、異常の兆候を見逃すと不良が連続して発生するリスクがあります。
このように、量産特有の環境変化を前提とした管理体制がなければ、安定した品質を維持することは困難です。
量産の安定品質を維持するためのポイント
不良率を下げるためには、属人的な判断に頼らず、再現性の高い管理方法を構築することが重要です。材料、設備、工具、加工環境の各要素を数値で管理し、変化を早期に検知できる体制を整えることで、量産時の品質ばらつきを最小限に抑えることが可能になります。
材料の寸法管理
シャフト部品の量産において、材料寸法のばらつきは不良発生の根本要因となります。特に外径公差や真円度が不安定な材料を使用すると、旋盤加工時の切込み量が変動し、寸法不良や面粗度悪化を引き起こします。
そのため、受入段階で材料寸法を測定・記録し、ロットごとの傾向を把握することが重要です。量産品の旋盤加工では、材料精度を前提条件として加工条件を決めるため、材料のばらつきを把握しないと量産時の不良の発生リスクとなります。
材料精度に合わせた設備調整の標準化・寸法に合わせたクリアランスの調整
材料寸法に応じて設備調整を標準化することも、安定した生産には欠かせません。例えば、材料外径に応じたチャック圧や工具突き出し量、クリアランスの調整条件を明確化しておくことで、作業者が変わっても同じ品質を再現できます。
シャフト部品の量産では、チャックの把握状態が加工精度に直結するため、材料寸法ごとの最適な把握条件を事前に定義しておくことが、不良率低減につながります。
材料チャージが変わった場合に発生する不良を予測した管理体制の構築
材料チャージが変更されると、硬さや被削性が微妙に変化し、不良の発生率が高くなることがあります。旋盤量産では、この変化を想定した管理体制が必要です。
過去の不良履歴などをもとに、材料チャージ変更時に発生しやすい不良傾向を整理し、事前に確認項目を設定することで、量産中のトラブルを未然に防ぐことができます。
発生する不良を予測した工具の選定
材料特性の変化に対応するためには、工具選定も重要なポイントです。シャフト部品の量産では、摩耗進行が緩やかな工具や、被削性変動に応じた材質の工具を選定することで、寸法変動を抑制できます。
工具寿命を基準とした交換ルールを設定し、不良が発生する前に工具交換を行うことで、安定した品質を維持することが可能になります。
加工液の温度、濃度管理
加工液の管理も、旋盤量産における安定品質には欠かせません。加工液の温度が変動すると、ワークが熱膨張し、シャフトの寸法精度に影響を及ぼします。また、濃度不足は工具寿命低下や面粗度悪化の原因となります。
定期的な温度・濃度測定を行い、基準値を維持することで、量産加工における環境変化を最小限に抑えることが必要になります。
当社のシャフト加工事例のご紹介
モーターシャフト
一般的なモーターシャフト加工では、旋盤加工後に歪み取りやバリ取りを別工程で行い、その後に研削加工を実施するケースが多く見られます。本製品では、これらの工程を省略するため、加工条件を最適化しました。具体的には、旋盤加工の段階で研削取り代を適切に管理し、歪みの発生を抑えるとともに、同時にバリの除去を行っています。これにより、外径精度や同軸度、真直度といった厳しい品質要求を確保しています。
また、本製品を含む3種類のモーターシャフトを、1台の研削盤で仕上げ加工しています。段取りはプログラム変更のみで対応できるため、小ロット生産であっても円筒研磨と比較して高い加工効率を実現しています。
当初はブローチ加工やスプライン加工においてバリが発生しやすい形状であったため、バリの出にくい形状へ変更するVE提案を行いました。これにより、バリ取り工数の削減や工具寿命の延長を実現し、トータルコストの低減につなげています。 また、焼入れやメッキ処理に伴う寸法変化については、各処理メーカーと連携しながら最適な条件を検討し、安定した高品質を確保しています。さらに、ホブ盤を自社で保有しているため、製作数量に応じて高精度かつコスト競争力のある加工提案が可能です。 スプラインシャフト
シャフト・丸物の量産加工なら量産旋盤・研削加工.comにお任せください
今回は、不良率を下げる旋盤量産加工で安定した品質を維持するための管理体制についてご紹介しました。
量産旋盤・研削加工.comを運営する株式会社協和製作所では、自動車業界で培った高い品質保証体制を活かし、安定した量産加工体制や高い品質保証体制などを強みとしております。シャフト部品などの量産加工でお困りの方はお気軽にご相談ください。


