量産旋盤品の材料歩留まりを向上させる生産体制
量産旋盤品では、1個あたりの材料ロスがわずかであっても、月産・年産数量が増えるほど大きなコスト差につながります。特に丸物部品では、材料径や材料長さの選定、加工工程の組み方、設備選定によって材料歩留まりが大きく変わります。本記事では、量産旋盤加工において材料歩留まりが悪化する原因と、材料ロスを抑えながら安定した量産を実現するためのポイントについて解説します。
量産旋盤品で材料歩留まりが悪化する主な原因
量産旋盤品において材料歩留まりが悪化する原因は、単に加工条件や現場作業だけにあるわけではありません。図面仕様、材料選定、加工工程、試作から量産への移行方法など、複数の要素が関係しています。特に自動車部品や産業機器部品のように、一定数量を継続的に生産する丸物部品では、量産前の工程設計がコストに大きく影響します。
製品形状に対して材料径・材料長さが最適化されていない
旋盤加工では、丸棒材やパイプ材などの材料から外径、内径、端面、溝、ねじなどを加工して製品形状に仕上げます。そのため、製品形状に対して材料径が大きすぎる場合、不要な切削量が増え、材料歩留まりが悪化し、材料費や加工時間も結果的に増加します。
量産旋盤品では、材料1本あたりの取り数、チャッキング代、突切り代、加工時のつかみしろなどを考慮したうえで、材料径・材料長さを最適化することが重要です。
試作時の加工方法をそのまま量産に流用している
試作段階では、短納期や少量対応を優先するため、汎用的な材料や加工方法を用いることが少なくありません。しかし、試作時の加工方法をそのまま量産に流用すると、材料歩留まりが悪化する場合があります。
試作では、入手しやすい材料を使用したり、マシニングや汎用旋盤で一品ごとに加工したりすることがあります。この方法は、初期検証や形状確認には適していますが、量産時には材料ロスや加工時間が増えやすくなります。
材料歩留まりを向上させる量産旋盤加工のポイント
材料歩留まりを向上させるためには、単純に材料費を抑えるだけでは不十分です。製品形状に適した材料選定、量産に適した設備活用、工程集約、図面段階からの設計提案を組み合わせることで、材料ロスを抑えながら安定した生産を実現できます。
最適な材料径・材料の選定
量産旋盤品の材料歩留まりを高めるうえで、まず重要になるのが材料径と定尺材の選定です。完成品の最大外径、加工公差、表面粗さ、熱処理や表面処理の有無を踏まえ、必要以上に大きな材料径を選ばないことがポイントです。
また、最大取り数になるように最適な長さの材料を選定し、端材の発生を抑えることができます。例えば、材料長さ、製品全長、突切り幅、つかみしろ、トップカットを考慮して取り数を計算し、最もロスの少ない材料長さを選定することが重要です。
さらに、量産数量が多い場合には、標準材だけでなく、専用寸法の材料調達を検討することで、材料歩留まりを改善できる可能性があります。材料選定の段階から加工現場の視点を取り入れることで、量産時のコスト差を大きく抑えることができます。
自動盤・NC旋盤による連続加工体制
量産旋盤加工では、自動盤やNC旋盤を活用した連続加工体制が材料歩留まりの改善に有効です。自動盤は、棒材を連続供給しながら加工できるため、量産品に適しており、安定した加工品質と生産効率を実現しやすい設備です。
特に、小径シャフト、カラー、ブッシュ、スペーサー、ピンなどの丸物部品では、自動盤による連続加工により、段取り時間や加工待ち時間を抑えながら、安定した量産が可能になります。また、NC旋盤を活用することで、複雑な外径形状や溝加工、ねじ加工、穴加工にも対応しやすくなります。
当社の加工事例のご紹介
モーターシャフト
こちらは、モーターシャフトの加工事例です。
一般的にモーターシャフトの加工では、旋盤加工を行った後、歪み取りやバリ取りといった工程を経て、最終的に研削加工を実施します。しかし本事例では、工程短縮を図るため、旋盤加工時の加工条件を最適化しました。
具体的には、旋盤加工の段階で研削取り代を適切に管理し、加工時の歪み発生を抑えるとともに、バリの発生を最小限に抑えています。これにより、後工程での歪み取り・バリ取り作業を省略しながら、外径精度、同軸度、真直度といったモーターシャフトに求められる品質を満たすことができました。
また、当社では本製品を含む3種類のモーターシャフトを、1台の研削盤で仕上げ加工しています。プログラム変更のみで段取り替えができるため、複数品種の小ロット加工においても、一般的な円筒研磨と比較して効率的な加工が可能です。
さらに、材質についても見直しを行いました。当初の図面では、強度確保を目的としてSCM435の調質材が指定されていましたが、小径部品では材料の入手性が悪く、コストが高くなるという課題がありました。そこで当社では、SCM材と同等の特性を持ちながら、調質工程を不要にできるKNCH10をご提案しました。その結果、材料調達性の向上と工程削減を両立し、品質を確保しながらコストダウンを実現しました。
シャフトなどの丸物の量産加工は量産旋盤・研削加工.comにお任せください
量産旋盤品の材料歩留まりを向上させるためには、材料径や材料長さの最適化、加工工程の見直し、自動盤・NC旋盤による連続加工体制、図面段階からのVE・VA提案が重要です。特に、丸物部品の量産では、材料1本あたりの取り数や切削代の設定が、材料費や加工コストに大きく影響します。 シャフトなどの丸物の量産加工でお困りの方は当社にご連絡ください。

